ヘアドネーションご予約時の注意事項
- 31㎝以上切れる方 ( 31㎝以下は対象外です。)
- 髪は前日迄にシャンプーを済ませ、完全に乾いた状態でご来店下さい。(汗や雨で湿ってしまってもNGに成ってしまうのでお気を付け下さい。)
- 切った髪はご自身で郵送して頂く事に成りますので、ビニール袋(ジップロック等)ご持参下さい。
- ご予約時に必ずヘアードネーションのカット&メニューをお伝え下さい。(別途お時間の+αが御座いますので)Web予約の場合は備考欄にドネーション希望と、お書き下さい。
- お子様と学生さんはコメント欄に年齢又は学年のご記入をお願い致します。
Hair Donation(ヘアドネーション)とは?
Japan Hair Donation & Charityは、一般の方に「ヘアドネーション(髪の寄付)」を募り、この髪の寄付と募金等によりフルオーダーのメディカル・ウィッグ『Onewig』(JIS規格取得)を製作し、18歳以下の子どもたちに完全無償で提供している国内唯一のNPO法人です。この仕組みを美容文化のなかのチャリティとして国内に定着させたのは私たちだと自負しております。
JHD&C(通称ジャーダック)は、脱毛症や乏毛症、小児ガンなどの治療や外傷等、何らかの事情で「頭髪に悩みを抱える子どもたち」に、ヘアドネーションによる献髪のみで作ったメディカル・ウィッグを無償提供することで「社会性の回復」をサポートし、子どもたちの未来を守ることを目的として設立されました。同時にこの仕組みは「ドナーの想い・善意」が、髪を通じて子どもたちへとつながっていく、Sustainability(持続可能性)の高い活動としても広く認知されています。
JHD&Cが育ててきた「ヘアドネーション」というカルチャーは、既存の慈善活動に対するイメージを変え、人々がボランティア活動に対してなんとなく抱いてきた「負のイメージ」を払拭すると共に、市民のボランティア参加へのハードルを引き下げた活動として、高く評価されています。
そのような人々の助け合いや、ボランティア精神に基づく成熟した社会とは、私たちが理想とする「必ずしもウィッグを必要としない社会」――病気や事故で髪をなくしても、クラスメイトから奇異な目で見られることなく、これまでどおりつきあえる、そんな仲間や友達がいる学校。ウィッグをつけなくても、ジロジロと見られない社会――なのです。
さまざまな髪形が個性として受け入れられているように、「髪がない」ことも個性として迎えられる、そんな多様性のある社会をめざして活動を続けていく所存です。
子どもたちが生きる社会とウィッグ
「病気になる」「髪を失う」ことは、誰のせいでもありません。
にもかかわらず、それがきっかけで子ども自身の生活に支障をきたすことがあるなら、それは非常に残念で悲しいことです。たとえば、学校で勉強したり、同じ年頃の子どもたちと一緒に過ごしたりするのは、子どもの成長・発達には必要不可欠ですが、髪がないことによって、そこへ参加するのが著しく困難になることもあります。また、自分は周りからどんなふうに見られているのか、と考えるのは相当悩ましいことでしょうし、本人だけでなく、親御さんも不安や焦りを募らせるであろうことは、想像にかたくありません。抗ガン剤治療や放射線治療を受ける場合、副作用による脱毛問題は復学の際の一番のネックになっているとの報告もあり、実は、病気と同等に深刻な問題を抱えているとも言えます。
もちろん、ウィッグをつけさえすれば、すべてが解決するわけではありません。
それでも、髪を失った子どもたちがウィッグをつけることで治療に前向きになったり、普通の何気ない日常を送れるようになったりするなら、それはQOL(生活の質)の向上といえるでしょう。私たちはぜひ、その力になりたいのです。
しかしながら、今一般に販売されている多くのウィッグは手頃な価格を実現するために、S・M・L等の少ないサイズ展開で大量生産されており、そのほとんどが大人用です。小児用ウィッグも流通してはいるものの種類が少なく、成長段階にある子どもの頭に柔軟に対応するものではありません。また、ヘアスタイルも限られており、選択肢が少ないのが現状です。
それゆえ、小児用ウィッグを手に入れるには、大変高価(30万~50万円)なセミオーダーやフルオーダーで購入せざるをえません。しかしながら、成長によるサイズの変化や経年劣化に伴う買い換えは必須であり、治療と並行してその費用を捻出することは、家計への重い負担になります。
上記のような理由から、JHD&Cでは「ドナーの想いと善意」を子どもたちに直接届けるため、ヘアドネーションにより製作されるメディカル・ウィッグ(JIS規格取得)の完全無償提供を実現しています。
また、丈夫で安価な素材として、ほとんどのウィッグに採用されている化繊・アクリル等の人工素材ではなく、自然で、元々の自分の髪に限りなく近い「人毛100%のフルウィッグ」を提供し続けています。
「善」の連携
JHD&Cがヘアドネーションの仕組みを確立する以前は、カットされた髪のほとんどはただの「ゴミ」として捨てられていました。そこで、2人の美容師が「髪への感謝と恩返し」をコンセプトに、ヘアドネーションという社会貢献活動を開始しました。
アメリカにおいてすでに認知され、機能している仕組みを参考に、日本に合わせて改良した現在のシステムを考案したのは2008年のことです。
それまでは処分されるだけだった髪を、加工・アップサイクルを経て、人毛100%のメディカル・ウィッグの素材として活用するというアイディアは、多くの市民や著名人の賛同を得ると共に、美容師の皆さまにも支持されました。現在ではヘアドネーションは個人の取り組みとして、成熟した社会活動になっています。
オシャレという自由
年齢を問わず、「オシャレがしたい! オシャレでいたい!」と思うのは人の自然な感情です。また、人は社会のなかにあって初めて、自分の個性を見いだしたり成長したりするものです。
しかし、髪に悩みを抱える子どもたちは、その機会を阻害されがちです。本人にとって大きなストレスになるとともに、子どもたちの無限の可能性を摘み取るものにもなりかねません。それは私たちの社会全体の損失と言ってもいいでしょう。
ウィッグを前向きな気持ちでつけること、そしてオシャレを楽しむという自然な感情を肯定することで、子どもたちの状況が少しでも良くなるきっかけを提供したい。JHD&Cはそう考えています。
「ウィッグのおかげで気軽に外出できるようになった」
「ウィッグをつけたら、周囲の目が気にならなくなった」
「学校で明るく振る舞えるようになった」
JHD&Cから受け取ったウィッグをつけている子どもたちは、そう語ります。
ご家族からは以下のような所感をいただいています。
「娘は毎日、元気に楽しく学校へ通っています。ウィッグをつけて、鏡の前でセットする時間も長くなりました。週末は、ヘアスタイルに合わせた洋服選びも楽しいようです。髪の毛の力ってすごいですね。母としてもうれしく思います」
「ウィッグを手にしてから、娘はおでかけの際に以前は嫌がっていたスカート等、女の子らしい格好をするようになったり、可愛いバッグや小物を欲しがるようになりました。ご提供いただいたウィッグがきっかけで、今まで胸にしまい込んでいたことを表現できたり、新しい自分を見つけることができたのなら、母親としてとてもうれしいです」
このように、ウィッグの効果が具体的に語られています。
JHD&Cは、日本での「ヘアドネーション」の仕組みに先鞭をつけ、新しい文化として社会に確立させました。
洋服を着替えるように、気分に応じてウィッグを選ぶ。ウィッグは、自分自身を自由に表現するためのオシャレのひとつです。ウィッグをつけてもつけなくても、その選択が当たり前に受け入れられるように「ウィッグ文化」を浸透させていきたいと私たちは考えています。
そして、ゆっくりではあっても「多様性が受け入れられる社会」が形成されることをめざして、JHD&Cはこれからも活動し続けます。